侵蝕的恋心〜番外編〜 +++++ 恋 -koi-

 俺はいつだって快感を求めていた気がする。

 SEXという快楽に身を任せ、『恋』という感情を感じた気になっていた。

 躯で始まり、躯で終わる。

 それが俺の『恋』だったんだ。




 真っ白なカーテンが揺れた。

 わずかな隙間から見えた肌色の胸部が艶めかしく上下している。しっとりと汗ばんだその肌も、ほんのりと薄い色に染まっていた。

 自分の下肢に視線を移した智早は、忙しなく動くその黒い物体の中に両手を埋めた。

 智早の下肢に顔を埋めていた生田は、チラリと視線を上げると一舐めしてそこから口唇を離した。

「おい、もう授業終わったぜ?」

 だから何だっていうんだ。

 中途半端に放り出された自分のモノを見て、智早は躊躇もせず生田の頭を鷲掴み思いきり奥までくわえ込ませると、離せないように強く生田の頭を押さえつけた。

 苦しそうに呻き声をあげてもがいていた生田だったが、諦めたのか素直に行為の続きに没頭しだす。

 前から思っていたが、舌で愛撫する生田は何ともいえない程に艶やかだ。

 押さえ付けていた腕を放すと、智早は生田の舌に視線を奪われる。今までに何度となく見てきた光景だったが、他の男がするのと生田がするのとでは何かが違う。

「な、もうイク・・・」

 智早が躯を震わせて達した後、生田の喉が僅かに上下した。荒い呼吸でそれ眺めていた智早は、生田の上体を起こすと白い液体の名残を見せるその口許に口唇を寄せた。

「なぁ・・・。犯らせろよ」

 耳許を舐めるように囁く。

 言ったのはコレが初めてではない。こういう行為をしていると必ず智早の言う言葉。

 そして、生田も必ず言うのだった。

「・・・先にお前が犯らせてくれたらな」

 懲りずに訊ねてくる智早にほとほと呆れていた生田だったが、もしこれで智早がOKを出すならば、躊躇もせず智早の中に入れるだろうと思っているのも事実だった。

 相変らずな生田の言葉を聞くと、智早は大げさに溜息をついてベッドに転がった。自分のケツを貸してまで犯りたいとは思わなかった。

「・・・詰まんねェの」

 お前だって嫌なくせに・・・と、生田が恨みがましい視線を送るものの、智早は全く気付いていない。それどころか、生田の視線を勘違いした。

「何?俺の躯に欲情した?」

 きっと智早の親衛隊だったら今のでノックアウトなのだろうが、智早の裸など見飽きている。確かに欲情する時もあるが、それは今更だろう。

「ヴァーカ。・・・さっさと服着ろよ。風邪ひくぞ」

 いい様、生田がさっさと服を着込んでいく。

「うえー?もう終わりなわけ?俺、まだ満足してねェんだけどなぁ」

 ベッドを上を転がるように移動して生田の腰に腕を巻きつけた。

「・・・そこら辺で犯らせてくれそうな子、探せよ。それに授業が終わったって言っただろ?」

 邪険に振り払う生田を眺めながら、智早は溜息をついて腕を放した。

 生田が時間を気にするのは、休み時間の保健室は利用数が多いからだ。智早としては誰に見られても全然平気なのだが、生田はそうではないらしい。

 智早は不貞腐れたように布団を頭までかぶった。

「おい、智早・・・。その布団は俺が使ってたんだけど・・・な?」

 背中をつつかれる感触がくすぐったく、布団から顔だけ覗かせた智早は生田を胡散臭げに見上げた。

「・・・どーせ、たいした病気じゃないんだろ?」

 そうなのだ。生田が保健室で休んでいるところを、智早がたまたま通りかかってその行為に突入したのである。

「・・・寝不足という、大変なご病気だよι」

 頭を掻きながら言う生田は、ズボンを履き終えるとポケットに入れてあった煙草に手をだした。生田はこういう行為の後、よく煙草を吸う。

 智早の視線に気付くと、生田は目を細めて微笑った。

 生田は口唇から煙草を離すと、口唇をそのまま智早のそれに寄せた。

 舌を絡ませてどちらのものなのか解からない唾液が口唇を汚す。

 長い間、戯れるように合わせていた口唇を離すと、智早はゴロリとベッドで寝返りを打った。

「寝るのか?」

 返事はしなかった。

 智早は手だけ振ると、沸き上がる眠気に身をゆだねた。

 遠くで声がする。

 片方はよく耳にする声。――生田だ。じゃあ、もう片方は・・・?

 薄めを開けると未だベッドに座ったままの生田が煙草を片手に笑っている。

 ・・・誰だ?

「だれ、ソイツ」

 姿はまだ見えていなかったが、声からしてきっと後輩か何かだろうということは解かっていた。

 生田が智早を振り返ったと同時にカーテンが揺れた。

 カーテンの向こうにいた男はまだ少年という域を出ていないほどに幼い容姿をしていた。

 少年も智早を見ていたらしく、視線が絡む。

 隣りで少年の説明をする生田が、裸だった上半身にシャツを羽織っていた。

 少年を興味深く眺めていた智早は、生田を見ていた少年がふと紅くなるのを目にする。

 早々に帰ろうとする少年を智早はいつまでも見詰めていた。

 少年の表情はころころ変わって面白い。俯くことが多いようだが、紅くなったり青くなったり・・・。

 今度は、眉を顰めた少年が生田から目をそらしたその瞬間、智早は少年と目が合った。

 少年は、智早がずっと少年を見ていたことを知ると顔を歪ませて出口の方へ歩いていった。

「ちょっと待ったっ」

 思わず呼び止めた。別に用事が合ったわけじゃない。でも・・・興味はあった。

 智早が名前を聞くと、少年の動作がピタリと止まった。・・・というよりも、瞳に智早を映したまま目を見開き固まってしまったのだ。

 一向に答えない少年に焦れた智早だったが、少年は紅くなって目を背けたまま何も言わない。

 その状態に耐えられなくなった智早は、少年に近寄ると再び答えを促した。

 少年は後退りながらも智早に答えた。

「さ・・・坂遠・・はじめ・・ですっ」

 その怯えた様子は嗜虐心をくすぐる。

 智早は口許を吊り上げると、ハジメの頬をくすぐるように撫でた。

 目を伏せたハジメの睫毛が震える様子をジッと見る。頬を撫でていた腕を首筋へ持っていくと、驚いたのかハジメが目を開けた。

 ハジメの瞳の中に映っている自分・・・。

 すぐに閉じられてしまったそれをもう一度開かせたくて、智早はハジメを強引にベッドに誘った。

 学ランを脱がすと僅かに抵抗したハジメを宥め、ハジメの躯を快感に追い上げていく。途中で生田の制す声が聞こえたが、そんなものはどうでも良かった。とにかくハジメの身体を蹂躙したい。

 ハジメの口唇を貪るだけ貪った智早は、それだけじゃ飽き足らずにハジメの制服の下を手にかけて一気にひき下ろした。生田がまた何か言っているが、どうせ本気で止める気も無いだろうから放っておく。

 抵抗するハジメに余計に興奮してきた智早は、ハジメのシャツの中に手を入れた。ハジメの色付いたその突起を指か掠めると、ハジメの躯が飛び跳ねた。

 感じているハジメに気をよくした智早は、もっと乱れるハジメを見るためにその胸に顔を埋めた。

 丹念に舌で舐めるとハジメの躯は快感でビクビクと震える。ハジメのその口から漏れる声は明らかに嬌声だった。

 ハジメの下半身のものを握ると、思わず口許が緩む。自分の手で感じているハジメ。自分の躯も熱くなるのを感じていた。

 智早は上唇を舐めると目的の場所をチラリと窺った。

 きっと初めてだろう。痛がるかもしれない。

 それでも止まらない欲望を、目の前の躯の中で放出したかった。

 指を増やすと初めからきつかったソコがますますきつくなる。舌打ちをした智早だったが、やめる気は毛頭ない。

「四つん這いになって腰あげな」

 入れやすくするために、ハジメの秘部を濡らそうと試みたのだ。しかし、ハジメはなかなか動こうとしない。痺れを切らした智早は、無理矢理にハジメの躯を裏返した。

「ジッとしてろよ?」

 笑いを含んだ声で言ったその声にハジメは抵抗しようとするが、智早がハジメの双丘の間に舌を潜ました瞬間に、躯を震わせてただシーツを掴むだけになってしまった。きっと快感に躯が言うことを聞かないのだろう。

 智早は揺れだした腰を掴み、舌と一緒に指も入れてみた。引っ掻くようにかき回すと、ハジメの躯はとたんに反応を返す。

 しつこいくらいに唾液で濡らしたそこはすっかり解れていて、智早は尻朶に口付けると指を抜いて自身をあてがった。

 先端に当たる感触は、今までに何度も経験したはずなのに息を呑むほどに智早を中へと誘いで行く。

 我も忘れ、気付くと半分近く自身を中へ埋め込んでいた。

 苦しそうに呻いているハジメには悪いが、途中では止まれずにハジメの腰を引き寄せると強引に最期まで入れた。

 ハジメの嗚咽が聞こえる。それでも智早には止められなかった。

 少しでもハジメの負担が軽くなるように、腕を前に回すとハジメの小さくなっているそれを掴むと上下に緩く動かした。

 同時に腰を揺らすとハジメの漏らした声を聞いた。感じているそれに、智早はホッとしたように息をついた。

 ふと気付くとハジメを案じている自分がいる。こんなことは初めてだ。

 何でこんなにゆっくり相手に合わせているんだ・・・?

 いつもお互いの快感を追うだけで終わっていた行為。SEXなんてそんなものだと思っていた。

 だけど、これは何かが違う・・・。

 強くハジメの躯に打ちつけながらも、ハジメの躯を抱く力を強くする。

 奥まで叩きつけるようにして入れると、ハジメと同時に達していた。

 ハジメの躯の上で智早は荒い呼吸を繰り返す。

「で、よかったか?智早」

 生田に声をかけられるまで夢見心地だった智早は、その声ではっとすると罰が悪いような気になった。何故だか後ろめたいようなそんな感じだ。

 名残惜しげにハジメの躯から自身を抜く。実を言うとまだそこに存在していたかったのだが、生田の手前そんなことは出来なかった。

 側にあったティッシュを取り出して汚れた下肢を拭った。

 気付くと生田がハジメを口説いていた。少しだけムっとしたが、何故なのか解からない感情に智早は溜息をついて目を背けた。

 何故か智早に了解を求めてきた生田に、顔が強張らないように強がった。

「別にいいんじゃねェ?」

 本当はよくなかった。誰にも・・・生田にも触らせたくなかったが、不可解なこの感情を知られるのを恐れてつい生田を睨んでしまった。

 しかし、見ていなければ見ていないで気になる・・・。

 見てしまおうか・・・と思ったその瞬間、生田から呼ばれて興味なさげな振りで振り向いた。

 どうやらハジメの思わぬ抵抗に四苦八苦していたらしく、まだ何もしていなかったらしい。せめて指くらいは入れてるのだろう・・・と思っていた智早は少し安心する。

 生田にハジメの腕を持っていろと言われ、智早は素直にハジメの腕を掴んだ。

 ハジメの躯を見た瞬間、再び智早の下肢は欲情の色を見せていた。

 目の前で生田がハジメの躯の中に進入していく。すんなり入った生田のモノがハジメの躯の中を行き来する度にハジメの嬌声が漏れる。

 その声を聴いていたくなくて、後から無理に口唇を合わせた。

 歯列をなぞり舌を絡ませると思わぬ反応が返ってくる。ハジメが自分から智早の舌に絡ませてきたのだ。

 様子からして気付いているとは思えなかった。それでも、ハジメが応えてくれた事に嬉しさを覚え、智早はもっと深く口唇を合わせた。

「智早・・・」

 ハジメの口唇に夢中になっていた智早だったが、不意に生田に呼ばれ眉を顰めながら口唇を離した。

「なん・・・」

 なんだよ、と言おうとしたのだが、その言葉は生田の口唇に掻き消された。

 ハジメを後から抱いている所為で生田のハジメを攻める振動が緩く伝わってきていたが、口唇を合わせただけで揺れが激しくなった。

 口唇をあわせたままハジメを窺うと、目を閉じて一心不乱に喘いでいる。

「なぁ・・・。俺も入れたい・・・」

 口唇を離した瞬間に口にした。

 口唇を拭う仕草をした生田は、智早の言葉にハジメの脚を抱えると簡単に頷いた。

「いいぜ。そっちから入れろよ」

 生田のその言葉に智早はわずかな憤りを感じた。まるでハジメを自分のモノのように扱う生田に腹を立てる。

「俺は一人で入れたいんだよ。・・・早くイっちまえ、バカヤロウ」

 そっぽを向いて言った智早に肩を竦めた生田は、動きを一層速くするとしばらくした後にハジメの中に放出した。

 小さくなったものをハジメの躯から出した生田は、智早にその位置を譲った。

「・・・まだハジメちゃん、イってないじゃん。ヘタクソ」

 智早は辛そうに立ち上がっているハジメの欲望をそっと撫ぜた。少し触れただけだったのだが、ハジメの口から声が漏れた。

「・・・お前なぁ・・・。智早が急かすからだろ」

 ヘタクソと言われて忌々しそうに智早を見遣った生田は、離れたところに座った。

 抵抗もしなくなったハジメを見詰め、脚を抱えるとゆっくりと貫いた。

 中途半端だった所為か、ハジメも乗り気に見えるのは気のせいなのか。無意識なのだろうけれど、腰を振って快感を得ろうとするハジメは下半身を直撃するほどに欲情する。

 感情に任せ、激しく腰を押し込んだ智早は、ハジメのほのかに染まっている顔を見詰めながら考えた。

 未だかつて、こんなに人に興味を持ったことがあっただろうか。




 智早はまだ知らない。

 それがどういう感情かを。

 もっとも、数日後には知ることになるのだが・・・――。

End.

222HIT!!恢さん、そして日頃訪れてくれている皆さんっ。

ありがとうございましたvv

時間は掛かりましたが「侵蝕的恋心」in保健室です(笑)

これを書き上げた後見直したら、なぜか智早と生田が・・・(汗)

奴ら・・・さては密かにできていた・・?(爆)

ともあれ、無事に書き終えれて安心しています。

リクエストをしていただいた恢さん、こんなお話になってごめんなさいっ!!

全然エロくなりませんでしたっ(涙)

 

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