#1−3 聡里-side
緩やかに揺れる振動に、薄っすらと目を開けた。 ・・・ここは・・。 耳に聞こえるのは相変わらず馬の蹄の音。今も自分は御輿の中で揺られているのだ。 先ほどのことは夢だったのか・・・とホッと息を吐こうとしたとき、自分のあられもない格好に顔を強張らせる。 濡れた肢体、あちこち痛む擦り傷・・・。夢ではないことを物語っていた。 「あ・・・あ・・・」 不意に恐怖が蘇ってきた。 見知らぬ男に貫かれ、快感を得てしまった自分。 全てが恐ろしい現実。 「ひ・・・っ」 僅かに身じろいだその時、躯の奥から零れ落ちたものに躯を強張らせた。 「や・・あ・・・」 聡里の躯がガタガタと震える。 経験はなくとも、それが男が放った残液だということは解りきっていた。 その時、不意に御輿の簾が開いた。 「ひ・・・っ」 聡里の躯が更に震え上がる。 また、あの男か・・・と。 「お目覚め回、お姫様?」 逆光でよく顔が見えないが、先ほどの男と声が違った。 しかし、その出で立ちから、男もまた山賊であるということがわかる。 男の仲間だろうか・・・。 「そう怖がることはないぜ。俺はあんたに、少なくとも無体を働く真似はしねぇ」 男はそう言い笑うものの、聡里の緊張はとれない。 男はそのことを気にした風でもなく・・・。 「もうすぐ俺たちのアジトだ。それまで窮屈だろうが、そこで大人しくおねんねしてな」 再び簾が下ろされたが、しばらく指すら動かすことができなかった。 きつく握り締めていた為、手の平を開いた頃には爪の跡が残っていた。 「兄様・・・」 聡里は両手を合わせ目を閉じた。 「おい、有蓋。このお姫さんを綺麗にしてやんな」 「俺がですかい?」 「・・・文句でもあるってのか?」 ギロリと睨まれた方の男が諦めたように頭を振った。 「文句なんて滅相もない。・・・間違いが起きても知らねぇですよ」 いい様、男が聡里の腕を取った。 ビクリと躯を警戒させる聡里は無視で、男はさっさと聡里の腕を引いていく。 「解ってんだろうな、売りモンに手ぇだそうたぁ・・・っ」 遠くで先ほどの男の声が響いた。 「・・・だぁから嫌なんだっての。眺めるだけは趣味じゃないんだけどなぁ・・・」 男のボヤキを聞きながら、聡里は連れられるまま湖へと連れて行かれた。 「そのあたり、浅い所に浸かってくんなよ。とりあえず背中から流すからよ」 文句を言いながらも、男は聡里にゆっくりと水をかけた。 姿格好からして、この男も山賊なのだろう。 しかし乱暴に扱われることも無く。男の出で立ちにしては丁寧に水をかけられる。 湖の水な為、聡里の肌には少し冷たかった。 聡里が躯を震わせると、それに気がついたように男が言った。 「すまねぇな。ここには上等な湯なんてもんはねぇもんでな。水で我慢してくれや」 それでも優しく肩から掛けられればホッと息をついた。 「さて・・・じゃあちょっと立ち上がっておくんな」 特に疑問にも思わなかった。 言われるまま立ち上がると、不意に散々嬲られた秘所に指をあてがわれる。 「ひ・・・っ」 とっさに躯が逃げてしまった聡里に、男はそれを許そうとはせず、腕を掴まれ否応なしに男の指を己の躯の最奥に銜え込んだ。 「ちょーっと我慢しててくれよ」 探るような指の動き。口唇をかみ締め時間が早く過ぎるのを待つ。 目をきつく閉め、躯を硬くしていると、それは突然起こった。 「ひ・・・っ や・・あ・・あ・・・っ」 太腿が痙攣するのが解った。 ドロリと太腿を伝い流れるもの。指で掻き出され、冷えた躯を暖かい物が流れていく。 内腿を震わせ、ただ喘ぐ。 日常は、ものすごく遠かった。 |
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