#5−5 柊-side

「・・・っ」

 あと数センチで触れる寸前。柊は地面についていた指に力を込め、拳を握り締めた。

「・・・くそっ」

 聡里の躯の上から退くと、ゴロリと寝転がった。

 聡里のことは好きだ。しかし、継嗣も大切な仲間だった。

 仲間を・・・二人を裏切りたくなかったのだ。

 ここで聡里の躯に触れるわけにはいかない。

 しかし聡里の方はそうはいかなかった。

 寝転がった柊の背中に冷たい感触が触れた。

 当然驚いたように飛び跳ねた柊だったが、それの正体が聡里の指であることに気がつくと、困ったように頭を掻いた。

「朝まで我慢してくれよ。そしたら継嗣の所まで連れていくからよ」

 だからもう少し離れてくれ、と聡里の躯を軽く押した。

 とたん、突然自分の躯が傾いた。

 突き出した腕を引っ張られたのである。

 あまりに予想しなかったことに、引っ張られるまま躯ごと聡里の上に伸し掛かってしまった。

 驚いた柊は慌てて聡里の躯から退こうとし、間近にあった聡里の目を合わせドキリとした。

「・・・チッ。なんて目しやがる・・・ッ」

 聡里の後頭部に手をやり強く引き寄せ、噛み付くように口唇を重ねた。

 差し込んだ舌を聡里の舌が追いかけるように合わさってくる。

 重ねた口唇を何度も角度を変えては貪った。

 胸の突起に指をやったのは、ほとんど無意識のことだった。

 すでに尖っているその赤い飾りを指の腹で押しつぶす。

 とたんに跳ね上がる聡里の躯を上から押さえ込みながら、何度も指でその感触を愉しんだ。

 次第にその刺激だけでは足りなくなった聡里が、柊の腕を自分の下肢へと導き押し付けた。

 柊は一瞬躊躇したものの、聡里の望むままにゆっくりとその部分を揉み解す。

 小さく声を上げる聡里が、次第に快感に酔いしれるように腰を揺らすようになった頃、柊の腕も激しさを増した。

「もっと・・・奥も・・・」

 吐息混じりの聡里の声。

 欲望に忠実な聡里の言葉に、苦笑した柊だったがその声に応えることはなかった。

 むずがる聡里をなだめる様に、聡里の背中をゆっくり撫ぜた。

 しかし確かな刺激が欲しい聡里は・・・。

「おねが・・・ッ」

 目尻に涙をためて柊に訴える。

 そんな聡里に逆らえるわけも無かった。

「・・・指だけだかんな」

 誰にいうでもなく、柊は小さく呟き、そろそろと・・・だが、的確に聡里の双丘に隠れている秘所を穿った。

 指が先走りの蜜で濡れていた事と、前の部分から流れていたこともあり、指は簡単に推し入ることが出来た。

 淫猥な音を立てながら、少しずつ奥へと進ませる。

 その度に聡里の躯は小さく震えた。

 その痴態に柊も欲望を感じずにはいられなかった。

「・・・勘弁してくれ・・」

 聡里だけを昂ぶらせるつもりだった。

 暴走するほどがっついていないと自負していた。

 ・・・はずだったのだ。

 だが妖艶な肢体を前に、柊はもはや止まれない所まできてしまっていた。

 聡里の躯をひっくり返し、片手で荒々しく前をくつろげる。

 既に先走りで濡れているそれを、聡里の脚の間に差し込んだ。

「ちょっと我慢してくれよ・・・」

 聡里の両足を閉じさせ、その間を滑らせるように抜き差しする。

 聡里は秘部の表面を擦られ、腰を突き出すようにして快感を露にした。

 仲間の『女』でこんな行為をすることなど初めてだった。

 何よりも仲間を大事にしてきたのだ。

 腰を振っている間も付きまとう罪悪感。・・・しかしそれ以上の昂揚感。

 洞窟内には聡里の甘やかな声が響いていた。






 朝になって、柊たちは洞窟を出た。

 今は辺りも明るくなったし、どうにかアジトまで辿り着けるだろう。

 傍らで丸くなっている聡里に目をやり、脇腹を庇いながら立ち上がると、その躯を背に負ぶさった。

「ん・・・」

 薄く目を開けた聡里だったが、一瞬だけ意識が覚めただけのようだった。

 再び目を閉じ小さな寝息が聞こえてきた。

 それを起こさないようにゆっくりと歩き始める。

 その足取りは重かった。

 やがてアジトが見える頃、ふと視線の先に人影を見つけた。

 遠目にも誰なのかはっきりとわかる。

 砂利を踏み鳴らしながら目の前まで辿り着くと、柊は何も言わずに継嗣の前で立ち止まった。

 何も言わず継嗣を見ている柊に、継嗣も同じように視線をやってくる。

 はじめに何を言うべきか・・・。

「・・・先を越されたな」

 最初に口を開けたのは継嗣だった。

 きっと聡里を庇ったときのことを言っているのだろう。

「・・・聡里が世話になった」

 当然のごとく聡里の躯を受け取ろうとする。

 もちろん柊に異存は無い。

 聡里の躯を素直に渡し、継嗣が抱き上げるのを見つめ・・・。

「・・・後で話がある」

 継嗣の口許がピクリと動いたのは気のせいではなかっただろう。

 かすかに頷いた継嗣は、聡里を腕に抱きアジトの中へ入っていった。

 それを柊は、しばらくボンヤリ見つめていた。

To be continued・・・

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